長野合宿 (22日)

2015年9月、ここ数年恒例となっている長野県北東部での合宿を例年通り開催しました。

タマゴタケベニテングタケキンチャヤマイグチなど、普段の観察会ではあまり見られないきのこを観察することができました。

 

9月22日の探索は、早朝に有志を募って行ったきのこパトロールから始まりました。

先行していた一団は、この早朝からクリタケの群生を見つけることができたようです (1)。

2015/09/22 峰の原高原 クリタケ Hypholoma lateritium

クリタケ (1)

一方、後方でゆっくり観察していた一団は、昨日も見られたヤマイグチベニテングタケ (2) に加え、古くなったアミタケを観察しました。

2015/09/22 峰の原高原 ベニテングタケ Amanita muscaria

ベニテングタケ (2)

そこからしばらく歩いたところにあるカラマツの林にはハナイグチがちらほら (3)。

2015/09/22 峰の原高原 ハナイグチ Suillus grevillei

ハナイグチ (3)

これらの他には、アイシメジ、ネズミシメジ (4) も見られました 。

2015/09/22 峰の原高原 ネズミシメジ Tricholoma sejunctum

ネズミシメジ (4)

本当はもっときのこを探したかったところですが、このあたりで朝食の時間が近づいてきたので急いで引き返しました。

帰り際に目撃したベニテングタケが一列に並ぶさまはまさに壮観で見惚れるほどでしたが、あいにく呆けている時間はありませんでした (5)。

2015/09/22 峰の原高原 ベニテングタケ Amanita muscaria

ベニテングタケの群生 (5)

急いでペンションに戻り、朝食をいただきました。

 

朝食を済ませた後は、レンタカーを使って遠征する班と、歩いて付近を探索する班に分かれて行動しました。

 

遠征班は、昨年の合宿でも探索した、中腹にコメツガ林がある山を再度訪ねました。

車で悪路を越えて目的地に駐車し歩きはじめると、さっそくそこにはハナイグチが群生しています (6)。

2015/09/22 嬬恋村 ハナイグチ Suillus grevillei

ハナイグチ (6)

コメツガ林までの道のりではカラマツやシラカバが茂っています。

そのため時たまベニテングタケを見かけることもありますが、さすがに参加者の皆さんも見慣れてきてしまったようです。

そんな道中、ベニテングタケよりも見飽きてしまったのは広義のナラタケたちです (7)(8)。

2015/09/22 嬬恋村 ナラタケ (広義) Armillaria mellea s.l.

ナラタケ (広義) (7)

2015/09/22 嬬恋村 ナラタケ (広義) Armillaria mellea s.l.

ナラタケ (広義) (8)

あまりにもナラタケの仲間がそこかしこにあったので、あっという間に採集袋はナラタケでいっぱいになってしまいました。

とはいえ、ナラタケ以外にも目を引くきのこはいくつもあり、イグチ目に属するヒダハタケ (9) や、ベニタケ目に属するヤマブシタケの古くなった子実体 (10) が見られました。

2015/09/22 嬬恋村 ヒダハタケ Paxillus involutus

ヒダハタケ (9)

2015/09/22 嬬恋村 ヤマブシタケ Hericium erinaceus

ヤマブシタケ (10)

ヤマブシタケは人工林の生きた木に寄生する植物病原菌ではないかと考えられているそうです。

 

カラマツ主体の林を上りきると高度も上がってきて、また見られるきのこも変わってきました。

途中休憩した場所ではコテングタケの老菌やアミハナイグチの老菌 (11)、シモフリヌメリガサ (12)、アカアザタケなどの姿が見えます。

2015/09/22 嬬恋村 アミハナイグチ Boletinus cavipes

アミハナイグチ老菌 (11)

2015/09/22 嬬恋村 シモフリヌメリガサ Hygrophorus hypothejus

シモフリヌメリガサ (12)

いくつかきのこが見つかったのを期にこの近辺をしばらくうろうろしていると、なんとタマゴタケの残骸が見つかりました。

今回の合宿は秋の雰囲気が色濃く、「夏のきのこであるタマゴタケは見られないかもしれない」と思っていただけに、タマゴタケへの期待が高まります。

しかし時間を取って探しても綺麗なタマゴタケは見つからず、さらにまだ目的地のコメツガ林にたどり着いていないこともあって、とりあえず先を急ぐことにしました。

 

コメツガ林に到着すると、散らばって各自できのこを探し始めました。

その甲斐あって、ニオイドクツルタケ (13)(14) やツチダンゴとその寄生菌であるハナヤスリタケ (15)、オオキノボリイグチ (16)(17)などの興味深いきのこが見つかりました。

2015/09/22 嬬恋村 ニオイドクツルタケ幼菌 Amanita oberwinklerana

ニオイドクツルタケ幼菌 (13)

2015/09/22 嬬恋村 ニオイドクツルタケ Amanita oberwinklerana

ニオイドクツルタケ (14)

2015/09/22 嬬恋村 ハナヤスリタケとツチダンゴ

ハナヤスリタケとツチダンゴ (15)

2015/09/22 嬬恋村 オオキノボリイグチ Boletellus mirabilis

オオキノボリイグチ (16)

2015/09/22 嬬恋村 オオキノボリイグチ Boletellus mirabilis

オオキノボリイグチ (17)

オオキノボリイグチは今回3つの子実体が見つかったのですが、うち1つはオオキノボリイグチの最も顕著な特徴である傘表面の斑紋がほとんどなく、筆者は最初アワタケ属の一種だと勘違いしてしまいました。

 

このように皆できのこ探しに熱中するなか、ついに大物が現れました。

2回生のメンバーが土に埋まったマツタケを発見したのです (18)。

2015/09/22 嬬恋村 マツタケ Tricholoma matsutake

マツタケ (18)

この発見をきっかけに付近でもう一つ見つかり、マツタケが2つになりました (19)。

2015/09/22 嬬恋村 マツタケ Tricholoma matsutake

マツタケ (19)

さらに、単独でマツタケを狩っていたハンターが帰還すると班は歓喜に包まれました。

遠くで巨大なマツタケを見つけてしまったようです (20)(21)。

2015/09/22 嬬恋村 マツタケ Tricholoma matsutake

マツタケ (20)

2015/09/22 嬬恋村 マツタケ Tricholoma matsutake

マツタケ (21)

あまりの立派な姿に、最初遠目に見て「何やあれ?テングタケの仲間か?」と思ってしまったそうです。

また、そのメンバーはケロウジやマツタケモドキ (22) も持ち帰ってきていました。

2015/09/22 嬬恋村 マツタケモドキ Tricholoma robustum

マツタケモドキ (22)

マツタケも見つかったし時間的にもそろそろ潮時だということで、遠征班は下山を開始しました。

ただタマゴタケが見つからなかったのだけが心残りだなぁ、と思いつつ山道を下っていると、先行していた参加者の一人が何やら赤く輝く影を見つけてしまいました。

正真正銘のタマゴタケ、しかもかなりの別嬪さんです (23)。

2015/09/22 嬬恋村 タマゴタケ Amanita caesareoides

タマゴタケ (23)

最後の大物の登場にメンバーたちは大歓喜です。

遠征班は興奮覚めやらぬ中でペンションへと帰還し、先に戻っていた残りのグループと合流しました。

 

残りのグループはスキー場周辺を散策しました。ヤマイグチなどを見ながら斜面を下り、ミズナラの林に入っていきます。

林には大量のキチチタケが並んでいましたが、その中に交じってクリフウセンタケが顔をのぞかせていました (24)。

クリフウセンタケ(24)

クリフウセンタケ (24)

周りの落ち葉をかいてみると次々と見つかります。クリフウセンタケを集めていると、一人が大きなきのこを持ってきました。まだ生えていた、ということでその場所に向かうと、ありました。見事なオオツガタケです (25)。

オオツガタケ (25)

オオツガタケ (25)

きのこじきにおいて1、2を争う人気の食用キノコです。

興奮も冷めぬまま周りを探してみると小さなタマゴタケが2本見つかりました。さらに林の中を進んでいくと、今度はそのタマゴタケが列をなして生えていました (26)(27)。

タマゴタケ (26)

タマゴタケ (26)

タマゴタケ幼菌 (27)

タマゴタケ幼菌 (27)

幼菌から成菌まできれいに並んでいるものもあり、皆思い思いに写真を撮っていました。

タマゴタケを採集していると林の中のアカマツが目に留まりました。もしや、と思い近づいてみるとやはり。クロカワが数株、群生していました (28)。

クロカワ (28)

クロカワ (28)

残念ながら傷んだものが多かったのですが、しっかりとしたものを数個採集することができました。

松の周りではクロカワだけでなく、コガネテングタケも見ることができました (29)。

コガネテングタケ (29)

コガネテングタケ (29)

ここまででもなかなかの収穫でしたが、昼食をはさんで別のスポットに移動します。道路沿いに、ハナイグチやキンチャヤマイグチ、マムシフウセンタケ (30) といったきのこを見ながら歩きます。

マムシフウセンタケ (31)

マムシフウセンタケ (30)

再び森の中に入ってきのこを探すことにしましたが、こちらはあまり成果が上がりません。そんな中、林内のいたるところにニオイドクツルタケ (31) が発生していたのは印象的でした。

ニオイドクツルタケ (31)

ニオイドクツルタケ (31)

このほかにもサクラシメジ (32) やコスリコギタケ (33)、巨大なナギナタタケの仲間、クリタケ、クロラッパタケなどが観察できました。コイシタケを探していたメンバーもいましたが見つからなかったようです。

サクラシメジ (32)

サクラシメジ (32)

2015/09/22 峰の原高原 コスリコギタケ

コスリコギタケ (33)

例年のように滝に降りて一休み (34) していると、きれいなタケハリカビが目に入りました (35) 。

(33)

(34)

チシオタケ上のタケハリカビ (34)

チシオタケ上のタケハリカビ(35)

チシオタケなどから発生する接合菌類の一種です。

ここまで結構な距離を歩いており皆疲れているようでしたが、ペンションまで坂を上って帰らなければなりません。

帰る道中では、ヘラタケ (36) や 合宿の常連ともいえるツノシメジ (37) 、ナラタケ、フチドリベニヒダタケ (38)(39) などが見つかりました。

ヘラタケ (36)

ヘラタケ (36)

ツノシメジ (36)

ツノシメジ (37)

フチドリベニヒダタケ (37)

フチドリベニヒダタケ (38)

フチドリベニヒダタケ裏面 (38)

フチドリベニヒダタケ裏面 (39)

また、この日二カ所目のオオツガタケやコガネテングタケを見つけたり、ハナイグチやヤマイグチを集めたりしつつペンションまで戻りました。

徒歩班ではこれらのきのこの他にも、見た目とは裏腹にハラタケ目に分類されるナギナタタケ (40) やフサタケの仲間 (41) 、さらに子嚢菌門のきのことしてはズキンタケ (42) やヒイロチャワンタケ (43)、オリーブサラタケ (44)、ポドストロマ属の一種 (45) などといったきのこも見ることができました。

2015/09/22 峰の原高原 ナギナタタケ

ナギナタタケ (40)

2015/09/22 峰の原高原 フサタケ属の一種

フサタケ属の一種 (41)

2015/09/22 峰の原高原 ズキンタケ

ズキンタケ (42)

2015/09/22 峰の原高原 ヒイロチャワンタケ Aleuria aurantia

ヒイロチャワンタケ (43)

2015/09/22 峰の原高原 オリーブサラタケ Aleurina imaii

オリーブサラタケ (44)

2015/09/22 峰の原高原 ポドストロマ属の一種 Podostroma sp.

ポドストロマ属の一種 (45)

 

こうして両方の班の参加者全員がペンションに揃ったところで簡単なきのこの同定・復習を行い、それが終わると待ちに待った夕食のきのこ鍋です (46)。

2015/09/22 夕食

夕食 (46)

あえてタマゴタケをたくさん残しておいて最後に味わうなど、各テーブルごと思い思いのやり方で贅沢なきのこ鍋を楽しみ、締めの雑炊まで美味しくいただきました。

山の恵みをたっぷりと味わった夕食だったと思います。

 

夜は希望者を募ってペンションから出て、毎年恒例の「星を見る会」を行い、西の端に沈まんとする上弦の月や夏の大三角、カシオペヤ座、北極星など、夜空の様々な星々を観察しました。

毎年「あれがカシオペヤ座、たぶん」と言っていたものが本当にカシオペヤ座であると確定したことが今年最大の成果だったと思います。

帰り道にも例年通り希望者が勝手にかけっこを開始し、普段から鍛えている人たちが運動不足気味の先輩たちを圧倒していました。

 

2日目は、今回初めて合宿に参加したメンバーには少々ハードなきのこ探しになったかもしれませんが、合宿ならではのきのこを軒並み抑えられたことで十分お釣りがくる内容だったのではないでしょうか。

今年はきのこに関して何となく不確定要素の多い合宿ではありましたが、蓋を開けてみれば「見たい」と思っていたきのこたちをだいたい見ることができ、胸を張って豊作だったと言えるような合宿2日目だったと思います。

 

まだ合宿には3日目が残っているので、ペンションに帰った後はゆっくり眠りました。

 

 

(文/h.a., m.h. 写真/m.h., h.a., h.m., y.k.)

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