木曽

この8月6日から10日にかけて、とある実習で長野県の木曽地方に行ってきました。

実習では昆虫の調査や植生の観察など様々なことを経験しましたが、その一環できのこを探す機会がありました。

いくつか面白いものを見ることができたので、紹介したいと思います。

 

8月6日

実習開始日、実習を終えた後に少しきのこを探しましたが、自分ではツチカブリくらいしか見つけることができませんでした。

しかし宿舎に戻ると、同伴していた菌類担当の先生がその日に見つけたきのこを見せてくれました。

マゴジャクシ (1) やアカヤマドリ (2) など、「おお」と思うようなきのこたちです。

2016/08/06 木曽 マゴジャクシ Ganoderma neojaponicum

マゴジャクシ (1)

2016/08/06 アカヤマドリ Leccinum extremiorientale

アカヤマドリ (2)

個人的には初めてヒメベニテングタケを見られたのが印象に残りました (3)。

2016/08/06 木曽町 ヒメベニテングタケ Amanita rubrovolvata

ヒメベニテングタケ (3)

可憐で可愛らしく、基部の膨大部が赤くなっているのも図鑑通りで思わず見入りました。

そしてその小ささにもびっくり (4)。

2016/08/06 木曽 ヒメベニテングタケとフクロツルタケ Amanita rubrovolvata and Amanita volvata

ヒメベニテングタケとフクロツルタケ (4)

同属である隣のフクロツルタケと比べても、とても小さいです。

また、机には他にも謎のチチタケの仲間が並べられていました (5)。

2016/08/06 木曽 チチタケ属の一種 Lactarius sp.

チチタケ属の一種 (5)

傘の中央部もとんがっており、菌類の先生とも「クロチチダマシとかに近いのかな」と話をしたきのこです。

試しに乳液を出してもらうと、液の色が何やら変です (6)。

2016/08/06 木曽 チチタケ属の一種 (傘裏面) Lactarius sp.

チチタケ属の一種 (傘裏面) (6)

分泌時からすでにチョコレート色にやや赤紫成分を足したような色合いです。

肉の断面はしばらくすると赤紫っぽくなってきました (7)。

2016/08/06 木曽 チチタケ属の一種 Lactarius sp.

チチタケ属の一種 (7)

僕はこんな変なチチタケ見たことがありません。

 

初日はこのようにして終わり、2日目以降の本格的なきのこ探しに備えました。

 

8月7日

この日の実習は標高1000mを超える一帯で行われました。

道を歩くと様々な植物が道端を彩っていましたが、実習生たちにはその中のカリガネソウという草が一段と印象的だったようです。

珍しい植物なのだそうで、マルハナバチが訪花するシーンには皆が見入っていました (8)。

2016/08/07 木曽 カリガネソウ Tripora divaricata

カリガネソウ (8)

また、このカリガネソウの葉っぱは香ばしいような変わった匂いを発していました。

しばらく歩いた先にはウラジロモミにシラカバが混じるような林があり、ここできのこ探しを決行。

探し始めてすぐ、ある参加者が早速大物を捕らえました。

タマゴタケです (9)。

2016/08/07 木曽 タマゴタケ Amanita caesareoides

タマゴタケ (9)

すぐ近くにはコガネテングタケもありました (10)。

2016/08/07 木曽 コガネテングタケ Amanita flavipes

コガネテングタケ (10)

低地ではなかなか見られない、黄金色の鱗片が美しいきのこです。

しかしこの林は全体的に見るときのこが少なく、これらの他にはクロチチタケっぽいきのこやチチタケなど13種が見つかったのみに終わりました。

宿舎に帰ったら、また菌類の先生がきのこを見せてくれることに。

何だろうと思って見てみると、ミヤマトンビマイでした (11)。

2016/08/07 木曽 ミヤマトンビマイ Bondarzewia mesenterica

ミヤマトンビマイ (11)

裏面の管孔は独特の形状をしており、まさに不整形 (12)(13)。

2016/08/07 木曽 ミヤマトンビマイ Bondarzewia mesenterica

ミヤマトンビマイ (傘裏面) (12)

2016/08/07 木曽 ミヤマトンビマイ Bondarzewia mesenterica

ミヤマトンビマイ (傘裏面拡大) (13)

初見のきのこが相次ぎ、毎日驚きの連続です。

 

8月8日

この日も昆虫の実習の後にきのこを探しましたが、あまりびっくりするようなきのこはありませんでした。

探した林はヒノキなどあまり外生菌根のつかなさそうな樹木の多いところだったので、当然と言えば当然なのかもしれません。

道端とかにオツネンタケは結構生えていました。

でも写真に撮るのを忘れました。

 

8月9日

この日はモミにアカマツやミズナラなどが混ざる林内に行きました。

外生菌根樹種が多いのできのこもそこそこ多かったです。

特にチチタケが多く、出るたび「あ、またか」という感じでした。

そんな中、またチチタケっぽいきのこがあったのでスルーしようとすると、先生に制されました。

「待って、これヒロハチチタケじゃない?」と (14)。

2016/08/09 木曽 ヒロハチチタケ Lactarius hygrophoroies

ヒロハチチタケ (14)

確かによく見てみるとチチタケよりひだは疎で、チチタケ特有の茶色いシミもあまり見られないように思います。

比べてみるとよく分かります (15)。

2016/08/09 木曽 チチタケとヒロハチチタケ Lactarius volemus and Lactarius hygrophoroides

チチタケ (左) とヒロハチチタケ (右) (15)

心なしか、ヒロハチチタケよりもチチタケの方が緻密でずっしりしているように感じます。

また、この日はケショウハツもとれたので、宿舎に帰ってから写真撮影を行いました。

ケショウハツはその傘表面の模様から別名を「桃初」といいます。

実際に桃と並べてみると… (16)

2016/08/09 木曽 ケショウハツと桃 Russula violeipes

ケショウハツと桃 (16)

これまでわざわざ比較したことはなかったのですが、確かに似ていますね。

 

夕食を食べた後は、同じく「きのこ班」として活動した実習生とともに様々な菌根の観察を行いました。

(プレパラート作りは不得手なのでほとんど彼に投げてしまいました)

まず観察したのは比較的観察しやすいと噂の、モミの外生菌根 (17) (18)。

2016/08/09 木曽 モミの外生菌根 ×100

モミの外生菌根 ×100 (17)

2016/08/09 木曽 モミの外生菌根 ×400

モミの外生菌根 ×400 (18)

モミの根の周りにまとわりつく菌鞘や、植物細胞の周囲を縫うように広がるハルティヒ・ネットと呼ばれる構造が見られます。

他に観察して面白かったのが、ミヤマウズラというラン科の草本植物の根です。

ランといえば、一部の菌類をおびき寄せて消化する「ラン菌根」という独特の菌根を形成するものがいることで知られています。

このミヤマウズラはどうなのだろうということで、観察してみました (19) (20)。

2016/08/09 木曽 ミヤマウズラの根

ミヤマウズラの根 ×100 (19)

2016/08/09 木曽 ミヤマウズラの根 ×400

ミヤマウズラの根 ×400 (20)

貯蔵のための顆粒とは別に、植物細胞の中に黄色い何かが見られます。

先生によると、これがラン菌根により分解されている菌かもしれない、ということでした。

久々に顕微鏡に触れて緊張しましたが、自分でもいくつか面白いものを観察することができてよかったです。

 

8月10日

実習最終日、それぞれの班ごとに発表をしました。

中にはアカネなど染料の原料となる植物を用いた染めものに挑戦していた班もあり、ロクショウグサレキンの仲間が感染した材で染めた布は意外な色に染まっていい味を出していました。

どの布も染まりが美しかったです。

 

帰りは源義仲の墓所の1つや郷土資料館に寄ってちょっとした観光気分を味わった後に帰宅しました。

生物を細胞とか分子のレベルで考える癖がついている自分にとって生態学の実習はけっこう大変でしたが、色々と新しい発見があって楽しかったです。

 

 

(h.a.)

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