東山

7月8日、京都市街中心地の左縁を形づくる東山の地で、7月の月例観察会を行いました。

これまで夏に東山できのこ探しをすることはあまりなかったのですが、今年はこじき長の鶴の一声で観察会の会場が東山に決定。

また、先月の観察会とはうって変わって事前の降水が多かったこともあり、ワクワクしながらのきのこ探しと相成りました。

 

スタート地点である円山公園から歩き始めると、道沿いの樹下にはキヒダタケの仲間やカワリハツの仲間 (1)、ツルタケ (2) などのきのこがさっそく姿を見せてくれていました。

カワリハツ近縁種 (左) とキヒダタケ (広義、右) (1)

ツルタケ (2)

キヒダタケはヒダがありますが、れっきとしたイグチ科のきのこで、傘の表の質感はなんとなく「イグチ感」があります。

その隣に写っているベニタケ属のきのこは一見アイタケのように見えますが、アイタケ独特のひび割れ模様などがなく、また近くに生えていた幼菌がカワリハツっぽかったことから、カワリハツの近縁種と判断しました。

 

その後も、まだ山に入らないうちからイボテングタケ (3) やヘビキノコモドキ (4)、アメリカウラベニイロガワリの仲間などの外生菌根菌や、オリーブサカズキタケ (5) などの腐生菌が道を彩ります。

イボテングタケ (3)

ヘビキノコモドキ (4)

オリーブサカズキタケ (5)

東山の登山道に入らずとも次々ときのこが目に入り、一行はなかなか前に進めません。

さらには、途中の斜面にムラサキヤマドリタケまで見つかってしまいました (6)(7)。

ムラサキヤマドリタケ (6)

ムラサキヤマドリタケ幼菌 (7)

この偉大な食菌を初めて目にしたという参加者もおり、一同は喜びに包まれます。

また、この斜面にはカビの生えたチチタケの仲間やUVを照射すると光るヤスデなど、面白いものがいくつも見られました。

 

ようやっと登山道に入ると湿り気が増してきて、なんとなく腐生菌が多くみられるようになってきました。

そのうちの1つ、トサカオチエダタケ (8)。

当初は手元の図鑑に記載されていたクヌギタケ属の「シロコナカブリ」という種かな?と考えましたが、実際には本種であったようです。

トサカオチエダタケ (8)

よく見ると傘の表面や柄に光る粉状のものがみられます。

大きくてインパクトのある外生菌根菌の陰で、このような小さくて可憐なきのこも山に息づいているのですね。

このほかこの近辺では、オオホウライタケやモリノカレバタケの仲間などの腐生菌がたくさん見つかりました。

 

さらに進んでやや湿り気が落ち着いてきたエリアでは、相次いで冬虫夏草が見つかりました。

クモタケ (9)(10) やコナサナギタケ (11)、またキマワリの仲間から生えるヒメクチキタンポタケ (12) です。

クモタケ (9)

クモタケ (10)

コナサナギタケ (11)

ヒメクチキタンポタケ (12)

このヒメクチキタンポタケは、同じく冬虫夏草であるアリタケを探そうとしていた参加者が偶然見つけたもの。

アリタケは見つかりませんでしたが、思わぬ発見に喜びを隠しきれません。

メンバーらはこれらの冬虫夏草を標本にするべく、きのこがちぎれないよう注意しながら思い思いに採取に励んでいました。

中でもヒメクチキタンポタケは上手に採取できたようです (13)。

ヒメクチキタンポタケ (13)

他にもこの近辺では、雨に濡れて少し傘表面の色が落ちたヒイロベニヒダタケも見つかりました (14)。

ヒイロベニヒダタケ (14)

図鑑に載っているヒイロベニヒダタケはもっとどぎつい赤色を纏っていましたが、雨に濡れるとこのような感じになるのですね。

 

東山の山頂に到着し、しばし休憩した後は、清水寺の方面に降りていきます。

しばらく歩くと、冒頭に紹介したイボテングタケと同じテングタケ属のきのこ・ガンタケも見つかりました (15)。

ガンタケ (15)

テングタケ属によく見られる傘表面の鱗片から一部の参加者はこのきのこをテングタケイボテングタケと勘違いしていましたが、見分けるポイントは学名 (Amanita rubescens) からも分かるように全体的な「赤っぽさ」。

赤銅のよう、とでも表現したらよいのでしょうか。

また、柄にも色がついていることやつばだけ白いことを考えれば、傘表面を見ただけで早合点せずに柄も確認してみることが大事なのでしょう。

他にもススケヤマドリの仲間の老菌やアシボソチチタケなどを確認しつつ、さらに道を下っていきます。

 

少し開けた場所に着いたので多少うろうろしてみると、あまり見慣れないきのこが見つかりました。

クロヒメオニタケです (16)。

クロヒメオニタケ Cystoagaricus strobilomyces (16)

Cystoagaricus“とは聞き慣れない属名ですが、ナヨタケ科に入る属のようです。

他にも少し離れたところでロウタケの仲間 (17) や何かの変形菌 (18) も見つけることができました 。

ロウタケ目の一種 (17)

変形菌の一種 (18)

ロウタケの仲間は一見なんだかよく分からない見た目をしていますが、これでも菌根を形成するきのこです。

この後はムラサキカスリタケを見つけて独特のカブトムシ臭を体験したり、季節外れのフウセンタケの仲間を観察したりして、清水寺の裏手へと下りていきました。

 

今回の観察会では、7月というきのこ最盛期の名に恥じない多種多様な菌類を観察することができました。

新入生も多く参加してくれて、とても楽しくかつ菌類への興味をかき立てる観察となり、よかったと思います。

帰り際にゲリラ豪雨が降らなければ最高だったんですけどね。

それはまた別のお話ということで……

 

また、きのこじきでは合宿の計画もそろそろ煮詰まってくる頃ですね。

全体的に標高の低い京都を出て、高い山の見慣れないきのこたちを探しに行くのが今からもう楽しみです。

 

 

(文/h.a. 写真/m.h., t.f., h.a.)

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