10月8日に大阪のくろんど園地で観察会を実施しました
京都から離れての観察ということで、普段見られない菌類に出会えるかもしれません
林地に入ってすぐに紫色のフウセンタケの仲間に出会いました
フウセンタケが生えてくると、きのこシーズンも終盤です
フウセンタケ科のきのこのひだは、成熟すると胞子でさび色に見えます
若い子実体にはクモの巣状の膜があることもフウセンタケ科の大きな特徴です
なお,フウセンタケ属(Cortinarius)は今年(2022年)に出た論文で全10属に分割する提案がなされています。
Liimatainen, K., Kim, J. T., Pokorny, L., Kirk, P. M., Dentinger, B., & Niskanen, T. (2022). Taming the beast: a revised classification of Cortinariaceae based on genomic data. Fungal Diversity, 112(1), 89–170. https://doi.org/10.1007/s13225-022-00499-9
この論文に関しては,「きのこびと」さんのサイトの解説が参考になりそうです。
→ https://kinokobito.com/archives/7269
イッポンシメジ科のクサウラベニタケと思われるきのこも多く見られました
クサウラベニタケは国内でも中毒例の多い毒キノコで、食菌であるウラベニホテイシメジと間違われることが多いようです
イッポンシメジ属のきのこのひだは、成熟するとピンク色に見えます
この日はツチグリ型のきのこも多く見かけました
ツチグリとエリマキツチグリは見た目こそそっくりですが、この二種は系統的には離れた位置にいる菌です
フサタケも見つかりました
他に類を見ない不思議な形状が特徴的です
前日に雨が降った影響か、カタツムリの仲間も多く見つかりました
かなりむちゃな姿勢に見えますが、意外と落ちないものですね
他にもウスカワマイマイやクチベニマイマイ、ヤマタニシなどの陸貝が見られました
フウセンタケ科の中には根元が大きく膨らむ種もあります
カワムラフウセンタケあたりでしょうか?
ルートが川に沿う形だったため、サワガニにも何度か遭遇しました
チシオタケも秋のきのこですね
タケハリカビにやられているのをよくみますが、今回見つけた個体は無事でした
この写真のナラタケは一帯の朽ち木から大量発生していました
ロクショウグサレキンの仲間は判別が難しいですが、子嚢盤が白っぽいこと、柄が短いこと、材に張り付くように発生していることからヒメロクショウグサレキンと同定しました
外皮が少し赤っぽく見えたので初見ではホオベニタケかと思いましたが、頂部の赤い部分の形状や発生環境からクチベニタケであると結論付けました
数日前から一気に冷え込んだこともあり、フウセンタケ科やチシオタケ等、秋のきのこが見られるようになってきました
今年のきのこシーズンも残り少し、冬になる前にいろんなきのこを見たいものですね
(文章/ s.k., m.h. 写真/ m.k., s.k., m.h.)